ピクサー・アニメーション・スタジオ Wiki
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Pixar - front gates

エメリービルにあるピクサースタジオのゲート。

ピクサー・アニメーション・スタジオPixar Animation Studios)は、アメリカの映像制作会社。コンピュータグラフィックスを用いたアニメーションを得意とする。 また、ピクサーはレンダリング用のソフト、RenderMan®の開発者でもある。 1986年2月3日創立。CGIアニメーションを産業とする。本社は、カリフォルニア州エメリービル、2006年5月5日より、ウォルト・ディズニー・カンパニーの完全子会社である。

歴史

1979年にルーカスフィルム社がニューヨーク工科大学からエド・キャットムル(現ピクサー社長)を雇用し創立したコンピュータ・アニメーション部門が、ピクサー・アニメーション・スタジオの前身団体である。その前身団体は『スタートレックII カーンの逆襲』や『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』を手がけている。その後、1986年、当時アップルコンピュータを退社したスティーブ・ジョブズらが1000万ドルで買収(内訳はジョージ・ルーカス自身に500万ドル、ルーカスフィルムに500万ドル)、「ピクサー」と名付けて独立会社とした。買収の背景として、ルーカスフィルムが7年間に及ぶCG作成ツールの研究に拠る現金流出を止めたかったことと、ルーカスフィルムの視点がCG作成ツールよりむしろ映画制作に移っていたことがあった。 ジョブズは買収資金として退社したアップルコンピュータの株を売り払った資金の一部を流用している. 独立当時の経営陣は、エド・キャットムル(社長兼CEO)、アルヴィ・レイ・スミス(エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼制作監督)、スティーブ・ジョブズ(会長)であった。

当初ピクサーは、政府機関や医療機関等を顧客とするピクサー・イメージ・コンピュータというコンピュータグラフィックス製作用の専用コンピュータを中核とした、高級ハードウェアの製造会社であった。またその顧客のひとつにディズニーがあった。その当時、ディズニーは従来行っていた手間のかかるインクによるアニメーションの作画手法を、コンピュータとソフトを使った能率的で効率的な手法に切り替えるというCAPS(Computer Animated Production System)プロジェクトに取り組んでいたためである。 ピクサー・イメージ・コンピュータの売り上げは芳しくなかった。そのような状況でコンピュータの売り上げに貢献しようと、コンピュータ性能の実演の為デモンストレーション短編CGアニメを制作していたピクサーの社員ジョン・ラセター(現クリエイティブ担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント)は、SIGGRAPH86で短編CG『Luxo Jr.』の公開及びレンダリングプロトコル RenderManの提案をした。 ピクサー・イメージ・コンピュータとソフトウェアを分離してソフトウェア部分を改良し、PhotoRealistic RenderManとして販売を開始する。

コンピュータおよびソフトウェアの売り上げは少なく,会社の業績が悪化したため、ラセターのアニメ開発部門は、外部企業のためのCGアニメのコマーシャル制作を始めた。その間ピクサーは、ウォルト・ディズニー・フューチャー・アニメーションとの関係を継続し、ディズニーのCAPS(コンピュータによるアニメの開発支援ポストプロダクションソフトウェア)の重要な技術参加企業になった。 ピクサー・イメージ・コンピュータ部門は1990年 Vicom Systems 社に200万ドルで売却される.その後、ピクサーとディズニーはCG長編アニメーション映画の制作のため、2600万ドルの契約を行った。

1988年に発表した短編CGアニメ『ティン・トイ』はアカデミー賞で短編アニメ賞を受賞。1995年にはディズニーとの共同製作で世界初のフル3DCGによる長編アニメーション映画『トイ・ストーリー』を発表する。1999年には『トイ・ストーリー2』でゴールデングローブ賞最優秀作品賞を受賞。2003年には『ファインディング・ニモ』でアカデミー長編アニメ賞を受賞した。 2009年『カールじいさんの空飛ぶ家』で第66回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞をチーム受賞し、カナダに新しくスタジオを開設した。

ディズニーとピクサーの関係

ピクサーのすべての主要作品は、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズと共同制作している。開発やアニメ制作、ポストプロダクションなどの制作面はピクサーによって行われ、配給や販売促進はディズニーによって行われ、またそのコストを負担している。ピクサーの最初の長編フィルム『トイ・ストーリー』の公開後の1997年、2社は今後10年間5作品の映画で制作費と興行収入を均等に2分配する契約を行った。また契約の際、映画およびキャラクターの著作権はディズニーが有し、分配後の10~15パーセントの興行収入をディズニーに支払うことも契約内容に含まれた。

両社にとって、この契約は非常に有益であり、ピクサーの契約後主要5作品は合計で25億ドル以上の利益を上げている。これは1作品あたりの興行でもっとも高い平均総収入に相当する。またディズニー本体の映画制作が振るわなかった事もあり、ディズニーの総売上の半分近くをピクサー関連が占めるまでになった。

ディズニーとの不調和は『トイ・ストーリー2』(1999年公開)の制作時から始まった。この作品はもともとビデオ作品として作られていたが(そのため、当初契約にふくまれる5作品とは考えられていなかった)、制作中に劇場用作品に昇格された。ピクサーはこの作品を5作品のうちのひとつと数えるよう要求したが、ディズニーはこれを拒否した。

2004年の早い時期に、2社は新たな契約合意に向けて協議を始めた。ピクサーは制作した作品の著作権管理を目指していたが、協議は配給に関する事のみであった。ディズニーとの配給交渉の局面で、ピクサーは『Mr.インクレディブル』や『カーズ』を含め、過去に制作した作品の著作権を引き渡すよう要求した。さらにピクサーは経済的自立を望んでおり、自社が制作した作品に対する融資と、興行収入のうちディズニーに対する配給料15パーセントを除く全てをピクサーの収入とすることを要求した。ディズニー、特に当時のCEOであったマイケル・D・アイズナーはこれを受け入れなかったが、ピクサーも譲歩しなかった。

これで両者の関係は終焉するかと思われたが、既に稼ぎ頭となっていたピクサーを手放す事にディズニーの株主達が反発、2004年9月にアイズナーが2006年9月の任期切れを以てディズニーのCEOを退任することを表明した。実際にはアイズナーの退任は2005年9月末に前倒しされ、2006年1月24日に後任のロバート・アイガーとジョブズがディズニーが2006年夏までにピクサーを買収する事で同意したと発表した。同年5月5日付で(買収金額は74億ドル)ピクサーはディズニーの完全子会社となり、「経済的自立」という自社の思惑とは裏腹にディズニーの傘下に入った。結果ジョブズはディズニーの筆頭株主となり、同時に役員に就任した。またキャットムルはウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ社長、ラセターは同社チーフ・クリエイティブ・オフィサーを兼務する事となり、ディズニーのクリエイティブ面での実権を握る事となった。またディズニー・アニメーション・スタジオが製作した『ルイスと未来泥棒』『ボルト』ではラセターが製作総指揮を務めている。

作品

ピクサーは脚本を12人で分業している。 「笑い担当は○○」のように、シーン毎に担当者を ディレクターのような人が割り当てて行っている。 それに加えて、脚本を練りこむのに時間をかける事で有名。 平均で一本2、3年かかるそうである。 又、ピザプラネットの車やA113以外にも、作品間でセットやキャラクターを共通化させることもある。
(例としては「モンスターズ・インク」でランドールが追放された人間界は、「バグズ・ライフ」での虫の町があるトレーラハウスと同じ位置)

長編

アカデミー特別業績賞受賞(ジョン・ラセター)
第76回アカデミー賞長編アニメ部門受賞
第77回アカデミー賞長編アニメ部門受賞
第80回アカデミー賞長編アニメ部門受賞
第81回アカデミー賞長編アニメ部門受賞
第82回アカデミー賞:長編アニメ部門・作曲部門受賞、作品部門ノミネート
第83回アカデミー賞:長編アニメ部門・主題歌部門受賞、作品部門ノミネート
  • カーズ2 Cars2(2011年)
  • メリダとおそろしの森 Brave(2012年6月22日全米公開予定)
  • モンスターズ・ユニバーシティ Monsters University(2013年6月21日公開予定)

短編

※『アンドレとウォーリーB.の冒険』は正確にはルーカスフィルムで制作されている。ただし実際の制作にかかわったスタッフの多くは、後にピクサーへ移っている。さらに、2008年11月7日にディズニーからDVD・ブルーレイで発売された、「ピクサー・ショート・フィルム & ピクサー・ストーリー 完全保存版」に、『アンドレとウォーリーB.の冒険』から『リフテッド』までの短編作品が収録されている。
  • 1984年 - 『アンドレとウォーリーB.の冒険』 The Adventures of Andre & Wally B.
  • 1986年 - 『ルクソーJr.』 Luxo Jr.(1986年アカデミー短編アニメ賞ノミネート)
  • 1987年 - 『レッズ・ドリーム』 Red's Dream
  • 1988年 - 『ティン・トイ』 Tin Toy(1988年アカデミー短編アニメ賞受賞)
  • 1989年 - 『ニック・ナック』 Knick Knack
  • 1991年 - 『ルクソーJr./びっくり』Luxo Jr. Suprrized
  • 1991年 - 『ルクソーJr./かるい&おもい』Luxo Jr. Light And Heavy    
  • 1991年 - 『ルクソーJr./まえ&うしろ』Luxo Jr. Front And Back
  • 1991年 - 『ルクソーJr./うえ&した』Luxo Jr. Up And Down ※セサミストリートにて放送。
  • 1997年 - 『ゲーリーじいさんのチェス』 Geri's Game(1997年アカデミー短編アニメ賞受賞)
  • 2000年 - 『フォー・ザ・バーズ』 For the Birds(2001年アカデミー短編アニメ賞受賞)
  • 2002年 - 『マイクとサリーの新車でGO!』 Mike's New Car
  • 2004年 - 『バウンディン』 Boundin'
  • 2005年 - 『ジャック・ジャック・アタック!』 Jack-Jack Attack
  • 2005年 - 『ワンマンバンド』 One Man Band(2005年アカデミー短編アニメ賞ノミネート)
  • 2006年 - 『メーターと恐怖の火の玉』Mater And The Ghostlight
  • 2007年 - 『リフテッド』(2006年アカデミー短編アニメ賞ノミネート)
  • 2007年 - Your Friend the Rat
  • 2008年 - 『マジシャン・プレスト』(2009年アカデミー短編アニメ賞ノミネート)
  • 2008年 - BURN・E/バーニー
  • 2009年 - 『晴れ ときどき くもり』Partly Cloudy
  • 2009年 - 『ダグの特別な一日』Dug's Special mission
  • 2010年 - 『デイ&ナイト』Day & Night
  • 2011年 - 『ハワイアン・バケーション』Hawaiian Vacation

関連項目

  • RenderMan(レンダーマン)
  • A113 - ピクサーの長編作品全てに見ることができる、仲間内ジョーク。
  • 24時間テレビ 「愛は地球を救う」 - 2009年(第32回目)のチャリTシャツを制作。
  • スカイウォーカー・サウンド - ピクサーの全作品で音響効果編集を担当している。

外部リンク

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