『ファインディング・ニモ』(原題:Finding Nemo)は、2003年のアメリカのアニメーション映画である。
概要[]
製作はディズニー&ピクサーで、フル3DCGで描かれた。ピクサーの長編アニメーション作品としては第5作目になる。日本では2003年12月6日公開。2003年のアカデミー賞では長編アニメ賞を受賞した。
主人公ニモ(Nemo)の名は、ジュール・ベルヌの小説『海底二万里』に登場する主人公ネモ船長(Captain Nemo)から採られている。
あらすじ[]
マーリン、ニモのモデルであるカクレクマノミ
舞台はオーストラリア・グレートバリアリーフの海。カクレクマノミのマーリンは妻のコーラルといっしょに卵の世話をしながら、2日後の子供たちの誕生を楽しみにしていた。ところが突然オニカマスに襲われ、幸せな日常に終止符が打たれる。気を失っていて助かったマーリンが意識を取り戻すと、妻と卵たちは姿を消していた。だが、たったひとつだけ卵が残されていた。たった一匹残った子に、妻の遺志を尊重するべくニモと名付け、父マーリンは過保護に育てる。ニモは片方のヒレが小さく、あれこれと心配し過ぎるマーリンにニモはうんざりしていた。はじめて学校に行った日、ニモはひとりで船に近づいてゆき人間に捕らわれてしまう。ニモを取り戻すため、マーリンはナンヨウハギのドリーといっしょに旅を始める。
以降、マーリンとニモが再会するまでの冒険活劇が展開する。本作の主要テーマは、家族の絆、そして友人との信頼である。並行して海中の多様な生態系や人間が海洋に与えている影響なども描かれている。全般として、家族向けエンターテインメント作品としての色彩が強い。
映画の影響[]
映画の人気で実際のカクレクマノミ(マーリンやニモのモデルとなった魚)にも人気が出て、一部では乱獲され、皮肉にも映画のニモのような境遇になったカクレクマノミが多発した。中には、棲み処であるイソギンチャクごと乱獲していく業者も現れ、生態系に与える影響が心配されている。
登場キャラクター[]
主要キャラ[]
- マーリン
- カクレクマノミの雄。妻のコーラルと多くの卵をバラクーダ(オニカマス)の襲撃で失い、以来神経質な性格になる。
- 愛するニモを救うため、ドリーと共に一路シドニーを目指す。
- ドリー
- ナンヨウハギの雌。ニモを攫った人間が乗るボートの目撃者。能天気な性格。
- 重度の健忘症持ちだが、アルファベットを読解する才能を買われてマーリンの旅に同行する。
- ニモ
- マーリンの息子で、人間で言うと6歳くらい。生まれつき片方のヒレが小さいせいで上手く泳げないが、マーリンとドリーは「幸運のヒレ」と呼んでいる。
- 過保護な父に反発した結果、人間のダイバーに攫われてしまう。
- 名前は彼の母親となるはずだったコーラルの要望から名づけられた。
海の住人たち[]
- サメトリオ
- ホホジロザメのブルース、シュモクザメのアンカー、アオザメのチャムからなる三匹組。
- サメ族のイメージ向上のため、「魚は友達、エサじゃない」をモットーに掲げて海藻食主義を貫こうと努力している。しかし、チャムは裏でこっそり魚を食べている描写があり、ブルースは血の匂いを嗅ぐと凶暴化するという短所があるため、イメージ向上は難航している模様。
- チョウチンアンコウ
- 獰猛な深海魚。およそ言葉を解する様子はない。
- クラッシュ
- 150歳のアオウミガメ。ヒッピー精神の元に息子をのびのびと育てている。原語版では監督のアンドリュー・スタントン自身が声を担当する。
- スクワート
- クラッシュの息子。ニモと同じ年頃の遊び盛り。
- ナイジェル
- ペリカン。タンク・ギャングにとっての外界の窓口であり、良き友人。
- カモメ
- シドニー港にたむろする海鳥たち。見かけによらず貪欲で、セリフは皆「チョウダイ」(原語は“Mine.”=俺の、日本語字幕では”エサ”)のみ。
- カニ
- 汚水処理場に通じる海底パイプの穴から出てくる残飯の欠片を漁って生きている二人組。
- バラクーダ
- 映画の冒頭に登場。鋭い牙を持つ肉食魚。マーリンの妻コーラルの命をうばった。
タンク・ギャング[]
歯科診療所の水槽で暮らす観賞魚たちの総称。リーダーのギル以外は皆ペットショップの出身。
- ギル
- ツノダシ。“タンク・ギャング”の中で唯一の海育ち。
- 幾度も脱走に挑戦し、失敗を繰り返している。右半身に残る傷跡はその名残。
- ピーチ
- ヒトデの雌。水槽のガラスにへばりつき、外で起こっていることを仲間に伝えるのが仕事。
- 日がな一日診療所を観察しているため、歯科についての知識はかなりのもの。また、英字も理解できる。
- ガーグル
- ロイヤル・グランマ。重度の潔癖症。
- デブ(&フロー)
- ヨスジリュウキュウスズメダイの雌。水槽のガラスに映る影を双子の妹だと思い込んでいる。
- バブルス
- キイロハギ。水槽のオブジェである宝箱から不定期に出てくる泡に執着している。
- ブロート
- ハリセンボン。感情が高ぶると勝手に体が膨らむ性質。
- ジャック
- アカシマシラヒゲエビ。水槽の掃除担当。フランス訛りがある。
人間[]
- フィリップ・シャーマン
- シドニー港に面した通りで診療所を経営する歯科医。ニモを“攫った”人物。
- 彼が帰りに落とした住所入りのゴーグルは、マーリン達がシドニーを目指すきっかけになった。
- ダーラ
- シャーマン医師の姪。7歳。誕生日になるとプレゼントの観賞魚を貰いに診療所にやってくる。
- 魚はたいていその日のうちに振り回して死なせてしまうため、タンク・ギャングからは恐れ憎まれている。
その他[]
- コーラル
- カクレクマノミの雌。マーリンの妻でニモの母親となるはずだった存在。卵が孵化する前日に卵共々バラクーダ(オニカマス)の餌食となった。
- クラゲ
- 東オーストラリア海流の近くでマーリンとドリーが出会ったクラゲの大群。傘や口腕はピンク色。ドリーとマーリンを刺してしまった。
スタッフ[]
- 監督・原案:アンドリュー・スタントン
- 製作総指揮:ジョン・ラセター
- 音楽:トーマス・ニューマン
声の出演[]
キャラクター | 原語版 | 日本語版 |
---|---|---|
マーリン(カクレクマノミの父) | アルバート・ブルックス | 木梨憲武 |
ドリー(ナンヨウハギ) | エレン・デジェネレス | 室井滋 |
ニモ(カクレクマノミの子) | アレクサンダー・グールド | 宮谷恵多 |
ギル(ツノダシ) | ウィレム・デフォー | 山路和弘 |
ガーグル(ロイヤル・グランマ) | オースティン・ペンドルトン | 津田寛治 |
ブロート(ハリセンボン) | ブラッド・ギャレット | 乃村健次 |
ピーチ(ヒトデ) | アリソン・ジャニー | 定岡小百合 |
バブルス(キイロハギ) | スティーヴン・ルート | 清水明彦 |
デブ&フロー(ヨスジリュウキュウスズメダイ) | ヴィッキー・ルイス | 森崎めぐみ |
ジャック(アカシマシラヒゲエビ) | ジョー・ランフト | 斉藤志郎 |
エイ先生(マダラトビエイ) | ボブ・ピーターソン | 赤坂泰彦 |
ブルース(ホオジロザメ) | バリー・ハンフリーズ | 郷里大輔 |
チャム(アオザメ) | ブルース・スペンス | 二又一成 |
アンカー(ヒラシュモクザメ) | エリック・バナ | 石住昭彦 |
クラッシュ(アオウミガメの父) | アンドリュー・スタントン | 小山力也 |
スクワート(アオウミガメの子) | ニコラス・バード | 菅光輝 |
ナイジェル(ペリカン) | ジェフリー・ラッシュ | 後藤哲夫 |
歯科医師(フィリップ・シャーマン) | ビル・ハンター | 稲葉実 |
ダーラ | ルル・エベリング | 久野美咲 |
シェルドン(オオウミウマ) | エリック・ペア・サリヴァン | 海鋒拓也 |
タッド(フエヤッコダイ) | ジョーダン・ランフト | 須賀健太 |
パール(メンダコ) | エリカ・ベック | 上野一舞 |
シェルドンの父(オオウミウマ) | フィル・プロクター | 梅津秀行 |
タッドの父(フエヤッコダイ) | 鈴木勝美 | |
パールの父(メンダコ) | 楠見尚己 | |
カニ | ローブ・マクマナス | 塚地武雅・鈴木拓 |
コーラル(カクレクマノミの母) | エリザベス・パーキンス | 進藤晶子 |
大口魚の母 | LiLiCo | |
小さな魚 | 中島ヒロト | |
大きな魚 | さかなクン | |
ロブスター | アンドリュー・スタントン | やまだひさし |
メカジキ | YASU | |
イルカ | 杉山39 | |
アジサシ | 吉井歌奈子 | |
ムーンフィッシュ | ジョン・ラッツェンバーガー | 江原正士 赤坂泰彦 |
関連アトラクション[]
- 「タートル・トーク」(Turtle Talk with Crush)は、パリと香港以外の世界のディズニーパークにあるアトラクション。カメのクラッシュとゲストがリアルタイムで会話できるアトラクション。エプコット版は2004年、ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー版は2005年にオープンした。2009年秋に東京ディズニーシーにも導入された。
- 「シー・ウィズ・ニモ アンド フレンド」(The Seas with Nemo & Friends)は、貝型のライドに乗って、ファインディング・ニモの世界を楽しむアトラクション。ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのエプコットのみに存在する。2007年にオープン。
- 「クラッシュ・コースター」(Crush's Coaster)は、海ガメ型のライドに乗って海ガメ「クラッシュ」たちとの海の旅を体験するジェットコースタータイプのアトラクション。ディズニーランド・リゾート・パリのウォルト・ディズニー・スタジオ・パークにのみ存在する。2007年にオープンした。
- 「ファインディング・ニモ サブマリン・ヴォヤッジ」(Finding Nemo Submarine Voyage)は、潜水艦型ライドに乗り込み、映画に登場したキャラクターとともにニモを助けるという内容というアトラクション。ディズニーランド・リゾートのディズニーランドにのみ存在する。2007年にオープン。
- 「ファインディング・ニモ ザ・ミュージカル」(Finding Nemo - The Musical)は、ファインディング・ニモのミュージカルアトラクション。ディズニー・アニマル・キングダムにのみ存在する。2007年にオープンした。
- 「ニモ&フレンズ シーライダー」(nimoandhriends sealider)は、東京ディズニーシーにあるアトラクション、シーライダーに乗ってニモの世界(海底)を探検する。回によって出演キャラクターは変わる。2017年5月12日オープン。これに伴い東京ディズニーシーにあるアトラクション「タートルトーク」もファインディング・ドリーのキャラクターを含めリニューアルした。
トリビア[]
- ニモは、『モンスターズ・インク』や『トイ・ストーリー』に人形として登場している。また、『モンスターズ・インク』にて、『バグズ・ライフ』の世界に通じるドアにおいても、ニモが一瞬いた。
- スタッフロールの時に背景の海の中を『モンスターズ・インク』のマイク・ワゾウスキーがスノーケル姿で出ている。
- 今作から「バグズ・ライフ」以来のピクサー作品の恒例だった、本編終了後のスタッフロールと共に流れる「NG集」がなくなった。理由は「ギャグがワンパターンになりかけていたから」との事。(DVDのオーディオコメンタリーより)ちなみに、「バグズ・ライフ」と同じ作法でスタッフロール時の劇中の情景表示がある。
- ニモを捕獲したダイバーのカメラにA113が描かれている。
- 診察室で診察待ちをしている子供が読んでいるのは『Mr.インクレディブル』の本。
- 診察室の床には『トイ・ストーリー』のバズ・ライトイヤーのフィギュアが転がっている。
- 水槽の魚達が脱走計画を練っているシーンで、道路を横切るピザプラネットのバンが数フレーム映る。
- クマノミは群れの中には雌は1匹だけで、雌が死亡した場合等は残った中で最大の雄が雌に性転換するため(雄性先熟)、学術的に正しく考えればコーラルが消えた時点でマーリンは雌になる。
- 『笑点』の大喜利にて、初代・林家木久蔵(現・初代林家木久扇)が自己紹介の時、封切前ニモの映画の宣伝込みの挨拶をしていた。
- 『ブルース』はスピルバーグ監督の映画ジョーズに登場するサメ(マシュー・レオネッティ製作の機械仕掛製)をスタッフ間でそう呼んでいたことに由来している。
- オープニングにおいて、バグズ・ライフから採用された眠れぬ森の美女のCG城における音楽パターン(2代目)は今作で最後となり、以降は作品ごとに変わり、当映像の見納め作となるレミーのおいしいレストランでは5代目となる。
- エンディングテーマがボビー・コールドウェルによりカバーされ、エスティマ (3代目)のCM曲に使われた。
- エンディングで「グレン・マックイーン」の追悼シーンが存在する。グレンはモンスターズ・インクのブーやトイ・ストーリーのウッディ等をデザインしながらも、2002年10月29日に42歳の若さで亡くなった。その為、彼の死の寸前にスタッフ達は彼に「カーズ」での主人公の名前に彼の名を使用することを約束した。
- ピクサーのCEO、スティーブ・ジョブズが「ファインディング・ニモ」試写のあと、海藻の動きの不自然さを指摘した。エンジニアは「現在の技術で海藻の動きを自然にしようとすると、映画の公開が1年遅れるか、巨額の制作費がかかる」と答えた。ジョブズは「映画は何十年にも渡って見られるもの。この海藻の動きで、本当に後悔しないのか。お金や公開時期はそれに比べれば重要な問題ではない」と返した。[1]
関連項目[]
- ディズニー・オン・アイス
外部リンク[]
脚注[]
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